【木と生きる】パネルログ構法ができるまで

「木」について考える - Thinking about“the wood “ -


Living with the forest

豊かな森林に囲まれて暮らす


日本の国土の約7割を占める、森林。

日本の森林率は先進国有数で、フィンランド、スウェーデンに次いで第3位(※先進国(OECD加盟国)において)の森林率を誇ります。

そして、その約4割が、戦後、主に建築や家具、生活用具に供するためと、生長のはやく通直に育つとして植林された、スギやヒノキの人工林です。

スギやヒノキは、四季があり湿潤な日本の気候にかなう樹種でもあり、わたしたち日本人の暮らしに寄り添う木でもあります。


スギやヒノキは、植えてから収穫まで最低でもスギが35年、ヒノキが40年は必要であり、50~60年が適齢だと言われています。戦後の復興等のために行われた「拡大造林政策*1」から、70年近くたったいま、山の木々は、成熟のときを迎えたと、言われています。


*1 拡大造林:緊急増伐が行われた伐採跡地には、早期に森林を回復する観点から、建築用材等としての需要が見込まれるとともに、成長も早い針葉樹の植栽が進められた。このうち、広葉樹林の伐採跡地等への針葉樹の植栽を「拡大造林」という。(林野庁 我が国の森林整備を巡る歴史より一部抜粋)




Until we created "Panel Log"

"パネルログ構法"ができるまで


雪深い東北の地で、4代前から“木”に携わり、私たちの生活の中にはいつも木があり、木と共に生活してきました。

木材はかけがえのない大切な資源です。

そこで私たちは、「木材を有効活用した 市場競争力のある画期的な木造構法の開発」 について、約30年もの間、研究・試作を繰り返してきました。

まず、木材をふんだんに活用した構法ということで、当時まだ国内黎明期だった丸太組工法の「ログハウス」に着手、その後、「ポスト&ビーム構法」にも取り組みました。

(※タイトル画像:1983年に福島県南会津町に竣工した初期のログハウス)


そのような中、東日本大震災が発生し、福島県で建築業に携わる一員として福島県応急仮設住宅建設事業に参加することとなりました。そこで、「ログハウスタイプ」の仮設住宅建設に取り掛かる際、必須となる建材等の生産・流通が滞る事態に直面し、改めて木材を有効に活用する構法の必要性を痛感しました。

(2011年福島県会津若松市に設置したログハウスの仮設住宅)

※物件詳細(株式会社芳賀沼製作HP内)→https://www.haganuma.co.jp/福島ログハウス共同体の会津若松仮設住宅が完成.html


その厳しい状況の折、和歌山県の製材所から90mm角の木材の寄付を頂きました。その木材をいかに有効に活用するか模索する中、大規模な津波被害にあった岩手県釜石市に仮設集会施設を建てる計画が立ち上がり、この時から「縦ログ®️・パネルログ®️ 構法」の研究・実践が始まりました。


近年「縦ログ®️・パネルログ®️ 構法」は、より良い製品とするための商品開発を推進し、複数の 耐力性能 及び 防耐火性能 の国土交通大臣認定を取得しています。当初は「小規模・低層」の木造建築のための商品開発を主に進めていましたが、昨今「中大規模・高層」の木造建築向けの商品開発にも積極的に取り組んでいます。

また、設計事務所や工務店の皆様からお問い合わせをいただき、全国に普及しつつあります。

2023年9月には、林業から製材、建築まで、川上から川下まで一体となった取り組みを目指し、「タテログ推進協議会」を発足いたしました。

※タテログ推進協議会発足式の様子はこちら(パネルログHP内NEWS)→https://panel-log.com/blog/sites/161541


これらの活動は、ひとえに日本の持続可能な資源・産業の一つである「林業」を川上とした、雄大な産業の活性化を願っています。


私たちは、スギやヒノキを有効活用し、

木質燃料として消費されてしまう木を少しでも減らし、

木を有効に活用した、無垢の木の家づくりを目指しています。



Living in the future with "wood"

「木」とともに生きる


いま、世界がめざす「サステナブル(sustainable)な社会」。

それは、今ある地球環境を壊さず、資源も使いすぎず、未来にわたり美しい地球で豊かに平和に生活し続けていける、「持続可能な循環型社会」を意味します。

国連は2015年に「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)*2」を採択し、日本では「SDGsアクションプラン2019」を発表。

※「SDGsアクションプラン2023」はこちら(外務省HP内)→https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/SDGs_Action_Plan_2023.pdf


政府は、持続可能な社会の実現を担うのは、これからを生きる子どもたちとし、「持続可能な開発のための教育:ESD(Education for Sustainable Development)教育*3」を推進。

世界は、「サステナブル(sustainable)な社会」の実現という目標に、共通して取組を始めています。

さまざまな材料の中で、地球への負荷の少ない再生可能な資源、それは「木」のみです。


木とともに生きる。


その選択は、わたしたちの日々の暮らしが健やかであること、

そして、わたしたちの暮らす地球と、未来を担う子どもたちのためにあると、

わたしたちは考えます。


*2 SDGs:持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)別ウィンドウで開くの後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。(外務省HPより一部抜粋)


*3 ESD:ESDはEducation for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されています。

今、世界には気候変動、生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大等人類の開発活動に起因する様々な問題があります。ESDとは、これらの現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことで、問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習・教育活動です。

つまり、ESDは持続可能な社会の創り手を育む教育です。(文部科学省HPより一部抜粋)